鏡餅と鏡開き
こんにちは髙橋です。
皆さん明けましておめでとうございます。2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
年末年始はご自宅でゆっくり過ごされた方が多かったのではないでしょうか?
私は毎年群馬の実家に帰り親族と正月を迎えるようにしているのですが、あいにくの情勢で本年は帰省せず、自宅で家族とゲームをしたり近隣の公園に子どもたちを連れて遊びに行きました。まとまった時間も取れたので、趣味の料理にも精を出しておりました。
特に正月になると無性にお餅を食べたくなってしまい、磯部焼きやお雑煮、特に磯部焼きは何個食べたかわかりません(笑)
今回はそんなお餅に関係する『鏡餅』と『鏡開き』についてお話していきたいと思います。
どうして「鏡」餅?
「鏡」は昔の鏡で丸い形をした青銅鏡に由来します。三種の神器の一つにある八咫鏡(やたのかがみ)は天照大神が宿るものとされ、鏡には神様が宿るご神体として神事に使われています。鏡餅が丸いのは、神様に捧げるお餅を丸い鏡に見立てることで神様が宿る依り代されています。
鏡餅が大小2つの重ね合わせのは、月(陰)と日(陽)を表しており、福徳が重なって縁起がいいと考えられたからとされております。そして、丸形の餅は「円満」を意味し、上下に二つ重ねていることから、「円満に年を重ねる」という意味も併せてもっています。
鏡餅は年神様の依り代
正月を迎えるにあたり門松や注連縄(しめなわ)と一緒に『鏡餅』を準備されるかと思いますが、なぜ飾るのかご存知ですか?
この正月飾りは新年に訪れる※年神様をお迎えするために用意するものになります。門松は『目印』、注連縄は神様に来ていただける区域を表し、鏡餅は年神様が宿る依り代となっております。この鏡餅については、神棚や床の間に飾ります。
※年神様・・・日本には来訪神が数多く存在し、その中で新年に訪れてくれる神様で、古くから五穀豊穣や疫病退散などのご利益があるとされてきました。
鏡餅の飾り方
鏡餅の飾り方は地域によって様々ですが、一般的には三方(さんぽう/神仏などに物を献上する際に用いられます。)に半紙や四方紅を敷き、鏡餅を乗せ、一段目と二段目の間に裏白敷き、鏡餅の上にゆずり葉を敷きます。最後に橙を乗せ完成です。他にも串柿、勝栗、五万米、黒豆、するめ、伊勢海老などの縁起物を盛るところもあります。
鏡開きとは?
鏡開きとは、正月にお迎えした年神様がお帰りになったあと、その依り代となった鏡餅を下げ、開いて(割って)食べることにより、一年の家族の無病息災を願う行事になります。鏡餅には年神様の魂が宿っているとされ、食べることでその力を授けていただく意味があります。つまり、鏡餅は備えたら、開いて食べることではじめて意味のあるものとなります。
年神様がいらっしゃるのは正月から松の内(一般的には1月7日、地域によって松の内は15日)までになりますので、鏡開きはこの松の内が過ぎたら行うことになっております。鏡開きが行われるのは一般的には1月11日になりますが、以前は松の内が1月15日までとなっており、鏡開きは1月20日に行われるのが一般的でした。
なぜ、鏡開きは変更になったのか?
鏡開きが1月20日から1月11日に変更になったのは、徳川幕府の3代将軍家光公が4月20日に亡くなられたことを受け、月命日である20日を避け、代わりに11日を鏡開きの日とされました。11日に鏡開きを行うにあたり、まだ年神様が御座されている期間になってしまうため、松の内も1月7日に変更されたといわれています。
ただ、この知らせは江戸均衡での風習であった為、近畿地方までには広まらず、以前からの松の内15日まで、鏡開きは20日に行うといった地域差が出ているとの話です。
鏡開きに使う道具
鏡餅には神様の魂が宿っているとされているため、刃物を使って開くことは縁起が悪いとされております。
乾燥したお餅は硬くてなかなか開けないので、木槌を用いて開くのが良いとされております。手で開いても構わないみたいですが、怪我には気をつけて行ってください。
鏡餅はどうやって食べる?
定番としては、お雑煮やお汁粉になります。硬くなったお餅については煮て食べることでまた柔らかく食べやすくなることから定番となっています。
また、欠けた餅を揚げることから『かき餅』も鏡餅の食べ方も一般的ですね。
こんなところにも違いが
お正月の定番のお雑煮ですが、地域によって全然違う特徴があります。顕著なのは、関西と関東でのお雑煮の違いで、関西は丸餅で味噌ベースのお雑煮、関東では四角い形の角餅でしょうゆベースの澄まし汁のお雑煮となっています。
お雑煮は平安時代に始まったとされており、お餅の原料となるお米は高価で、お正月といった特別なお祝いの日に食べられるものでした。なので、年神様にお供えした供物であるお餅や地域で取れた食材を、その年の最初に汲んだお水で煮込んで食べたのがお雑煮の始まりとされております。『雑煮』とは様々な食材を混ぜて煮ることからきております。
関東でお餅入りの雑煮が食べられるようになったのは、江戸の頃で人口が多かった為か手間のかかる丸餅ではなく、一度に多く作れる角餅が使われたという話です。関東でしょうゆベースの澄まし汁が主流なのは、武家が支配した東日本では「失敗や評判を落とす」といった意味の『みそをつける』からみそ仕立てのものを嫌い、かつおだしの澄まし汁が定着したとの話があります。
子供の頃より何気なく風習として、毎年行っている日本の文化には深い意味のある行事が沢山あります。この鏡開きもお供えした鏡餅を割って食べてることによってはじめて意味をなします。家族みんなでいただき新年の力を年神様より授かり、健康で良い一年をすごしましょう。
参考:日本鏡餅組合、農林水産省『特集2 食材まるかじり(1)』